ARRIVAL
| 固定リンク | トラックバック (0)
1981年9月29日 成田空港、国際線の乗客が入国審査を通過するフロアを覗ける喫茶店でぼくと中山 康樹は待っていた。コーヒーを何杯もおかわりして、何本もタバコをふかしながら二人はずいぶん長いことテーブルを占領していた。
同じ便のほとんどの旅行者が通り過ぎてフロアの人通りがまばらになっても、待ち人は姿を見せず、ぼく達はとっくにカラになったコーヒーカップを前に長い長い沈黙の時間を耐えた。
学生の頃、ローリング・ストーンズが入国出来ず、苦労して手に入れたチケットが払い戻しになった苦い経験があったし(1973年)、薬物所持で入国拒否されたポール・マッカートニー(1980年)の記憶も新しい頃だったから、ぼく達の心中は不安で一杯だった。
| 固定リンク | トラックバック (0)
丁稚奉公とはいえ、バーゲン用チラシ程度の撮影は任されており、フィルムやプリントを現像する暗室作業には自信があった。ロケに同行したときの待遇も良く、スタジオの車も私用に乗り放題で、女の子とカメラを持たないロケにもたびたび使わせていただいた。お給金もそこそこ貰えていたから、先生の靴磨きやタバコ買いにもすすんで走り、特に不満はなかった。
暗室の壁にこっそり開けた穴から女優やモデル達の衣装替えを覗くのも好きだったけれど、ジャズを撮る事の方に情熱の方向を変更しつつあったある時、小川先生から「うちやまクンやる気あんの?」と尋ねられ、ぼくは、即座に「ありません!」と答えて舞台写真の世界にまっしぐらに踏み込んでいった。
| 固定リンク | トラックバック (0)
最近のコメント